2020/12/02
【概観】
2020年11月3日に投票が行われたアメリカ大統領選挙は、近年では「最も重要な選挙」になると想定されたとおり、世界の注目を集めることになった。トランプ大統領が2期8年間、大統領の座に位置するか、あるいは民主党のジョー・バイデン前副大統領が政権を掌握するか。二極化されたアメリカ政治において、二つの勢力の対立は熾烈なものとなり、開票速報に世界が目を向けた。その結果は、バイデン前副大統領の勝利となり、現在政権移行チームが新政権の政策を検討している最中だ。
当初懸念されていたような、開票作業の混迷により選挙結果の判明が大幅に遅れるということはなかった。バイデン前副大統領が約8000万票で50.1%の得票率であるのにたいして、トランプ大統領は7300万票で47.1%の得票率にとどまった(CNNの2020年11月15日の統計に基づく)。11月7日に、CNNやABC、FOXニュースのような主要テレビ局や、ニューヨークタイムズのような新聞社、ロイターのような通信社が、選挙人獲得数が過半数を超えたバイデン候補の勝利を報じた。それを受けて、日本の菅義偉首相をはじめとする世界の首脳がバイデン氏の勝利を祝福した。306人の選挙人を獲得したバイデン候補に対して、トランプ大統領の選挙人数は232人にとどまっているため、これから過半数に到達する可能性は小さい。
この間、トランプ陣営は、郵便投票が不正につながっていると疑念を示し、集計結果をめぐる法廷闘争を行うことを示唆した。しかしながら、選挙結果が覆される見通しはなく、トランプ大統領自らも、12月14日の選挙人による投票の結果、バイデン副大統領が過半数を獲得した場合には敗北を認めて自らが大統領の座から退くことを示唆している。11月30日には、ウィスコンシン州とアリゾナ州でバイデン候補の勝利が認定されて、12月2日にはジョージア州での再集計が完了する期限となっているが、トランプ大統領の勝利の見通しはほぼなくなったといえる。トランプ氏自ら、「最高裁に持ち込むのは困難」と、法廷闘争により現在の選挙結果を逆転させることの難しさを語っている。
その一方で、バイデン次期大統領は、11月23日に主要閣僚の人事を発表した。国務長官に就く予定のトニー・ブリンケン元国務副長官、大統領補佐官となるジェイク・サリバン元副大統領補佐官というように、現実主義路線の外交・安保専門家が要職に就くことになった。バイデン政権が、トランプ政権の「米国第一主義」路線とは一線を画して、同盟国との関係修復を主眼に置いた国際協調主義路線に回帰する見通しが明らかとなった。概ね、そのような動きを多くの諸国が歓迎している。それでは、大統領選挙の投票日を挟んだこの一ヵ月間で、世界の論壇はこれらの動きをどのように論じていたのか。
以下、国際論壇の概観を紹介することにしたい。(続きを読む)
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