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API国際政治論壇レビュー(2021年1月)

2021/01/13

【概観】2021年が幕を開けて間もない1月6日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウス近くで開いた集会で、支持者たちを前にして、「議会へ行って(トランプ氏を支持する)勇敢な議員らに声援を送ろう」と呼びかけた。さらには「われわれは選挙で地滑り的勝利を収めた」と叫び、自らが大統領選挙で勝った正当な大統領として、その座を降りるつもりがない意向を示した。支持者たちは議会に向かって「選挙盗むな」と連呼をし、集会後に暴徒化した支持者たちは連邦議会に乱入したことで審議中の上下両院合同議会は混乱に陥った。銃撃で5名の死者が出て、民主主義の指導的な地位にあったアメリカにおける政治の一時的な機能不全を映すその映像は世界に衝撃を与えた。


ジョージア州での上院補欠選挙の結果、連邦議会では民主党が二議席を獲得した。これにより、民主党は大統領選挙、上院選挙、下院選挙と、3つで多数を占める勝利を得たことになる。これを受けて、午後から大統領選の各州の選挙人の投票結果を確認する投票が行われていた。この日の投票が行われれば、正式にジョー・バイデン民主党候補が次期大統領として確定して、1月20日の大統領就任式を迎えることになっていた。他方で、トランプ大統領は「大規模な不正があった」として、明確な根拠を示すことなくその「不正」を激しく非難した。その影響を受けたトランプ支持者たちは怒りを募らせて、バイデン氏の大統領就任を阻止する意向であった。


1月6日のこの日、トランプ大統領は、上下両院合同会議の進行役であるマイク・ペンス副大統領に対して、選挙結果を覆すことを強く求めた。しかしながらペンス副大統領が、自らは「大統領選の結果を決める権限を持たないと」と応じ、そのような圧力に抵抗した。そのことにより、トランプ大統領とその熱狂的な支持者たちの怒りは膨張していた。他方で、共和党で上院を束ねる役割を担っていたミッチ・マコーネル院内総務も、「もしもわれわれがそれらをすべて覆せば、われわれ共和党にずっと影響が残るダメージを与えるだろう」と、ペンス副大統領同様に民主党の勝利という投票結果を認め、バイデン氏の大統領就任を受け入れる意向であった。(続きを読む

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