2021/04/10
【概観】
2021年3月12日、はじめてとなる日米豪印四ヵ国、いわゆるクアッドの首脳会議がオンラインで開催された。またその翌週の16日には、アメリカの国務長官と国防長官がそろって訪日して、日米間の安全保障協力を強化するための日米安全保障協議委員会(日米2+2会合)が東京で対面の形式で開かれた。この過程で、自由民主主義体制と権威主義体制(あるいは専制主義体制)との間の価値やイデオロギーをめぐる対立が熾烈化していった。
昨年5月のマット・ポッティンジャー大統領副補佐官の演説以降、トランプ政権の対中政策は強硬な度合いを増していったが、そのような路線はバイデン政権成立後にも引き継がれている。他方で、同盟関係や多国間国際組織を繰り返し批判していたトランプ大統領とは異なり、バイデン政権ではむしろ同盟と多国間国際組織を強化して、それを背後に中国に強い姿勢で臨もうとする意向がうかがえる。3月に開催されたクアッド首脳会議と、日米2+2会合は、そのような潮流の一環といえるだろう。
バイデン政権が、価値観をめぐる対立や、政治体制の違いというものを前提として、中国に対して厳しい姿勢で臨もうとする中で、ウイグル族への人権侵害などの問題で日本政府がどのような立場を問うかが、試されている。菅義偉首相の訪米を控えてこれからどのようにして「菅=バイデン時代」の日米同盟を発展させていくのか、大きな岐路に立たされている。「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンを構想し、促進してきた日本との同盟関係は、バイデン政権のアジア政策においても中核的な位置を占めているといえそうだ。
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