2021/06/15
【概観】
6月11日からイギリスのコーンウォールではじまったG7サミットは、二年ぶりの対面で、先進民主主義諸国の首脳が集まる会合となった。また、ジョー・バイデンの大統領就任後の、はじめての外国訪問の機会でもあった。議長国のイギリスと、「民主主義サミット」開催を企図してきたアメリカの、両国政府は「新大西洋憲章」を発表し、民主主義諸国が結集し、国際社会を主導する勢力となる意思を表明した。はたして、コロナ禍で中国やロシアという権威主義体制の影響力が拡大する中で、このG7サミットは民主主義勢力のダイナミズムを回復する契機となるであろうか。この一ヵ月間で最も注目された国際的なイシューは、引き続き台湾問題をめぐる米中対立と、中国による武力侵攻の可能性をめぐるものであった。中国による台湾の武力統一の可能性については、中国専門家の間でも意見が分かれているが、引き続きこの問題が国際的な関心を惹きつけている。日本にとってもこの問題は無関係ではない。そのような日本周辺における軍事衝突の勃発により巨大な影響を被ることを考えると、そのような危機に対しての適切な情勢認識と、必要な戦略の選択が不可欠であろう。
(続きを読む)
Comments